今回、私が初代の代表世話人である成富博章先生から引き継ぎ、第二代の代表世話人として本研究会のお世話をさせていただくことになりました。徳島大学放射線科の原田雅史でございます。皆様に本研究会について理解していただき、お役にたてていただくために、簡単に本研究会のご紹介をさせていただきたいと存じます。
発足当時より、MRを脳機能評価や脳疾患の病態解明に役立てるようとする方が、それぞれの持つ疑問点や問題点をざっくばらんに話し合い、MR診断技術に関する理解を深めるための交流の場を作ることが本研究会の趣旨となっています。
1980年代に生体計測用Magnetic Resonance Spectroscopy(MRS)を用いた脳の研究が行われるようになりましたが、1980年代後半になると臨床に密着した脳MRSの研究会を作ろうという動きが米国を中心に起こりました。我が国においても脳外科医・神経内科医・神経放射線科医を中心としてこの趣旨に則った研究会の発足が検討され、1988年数名の有志が発起人となって第1回勉強会を開催したのが本研究会の始まりです。関係者の当初の主たる関心が脳MRSであったことから、第1回から第8回まで研究会の名称は「臨床MRS懇話会」と称されました。しかし、時代の変遷とともに、functional MRI(fMRI)等にも脳研究の関心が注がれるようになり、1996年、第9回から会の名称を「臨床MR脳機能研究会」に変更しました。2008年に第20回研究会を開催したことを契機に、同好の士をさらに広く受け入れる目的でホームページを開くことになりました。
本研究会は、「MR」と「脳機能」に関連する内容であればMRS、fMRIに限らず広く話題を受け入れており、当然のことながら動物実験による研究も関心の対象に含めています。MRは脳機能や代謝を非侵襲的に評価することができる有力なモダリティとして脳科学分野のみならず分子イメージング領域でもひろく利用されるようになっています。技術的にも拡散テンソル画像からQ space解析画像への発展やresting fMRIによるconnectivity評価等の新しい展開もみられています。本研究会の特色は、学会ではないことから、学術的に確立された技術や新規性のみを追求する会ではなく、知識と理解を深めるとともに、技術的な課題に対する検討や情報交換を行う点にあります。研究会は年1回の頻度で開催することを通例としており、研究会では症例報告や臨床開発を含めた一般演題と、テーマを絞ったシンポジウムやワークショップに加えて、学際分野も含めた関連する領域のエキスパートを特別講演にお呼びして開催しています。今後多くの方に興味をもっていただけるようにさらに情報発信を行い、参加された方が新たな知識や技術の習得に加えて日常の疑問点や課題の解決を図れるような企画を工夫していきたいと考えています。皆様の情報交換と技術や研究結果の課題の解決の場として活用していただければ幸いに存じます。
本研究会やMR脳機能研究に関する質問もいつでも受け付けておりますので、お気軽に事務局までご連絡いただければ、最大限私どもでわかる範囲でお答えしたいと考えています。今後とも本研究会にご理解いただき、ご参加・ご協力いただけますよう心よりお願い申し上げます。これらからも皆様と本研究会でお会いし、情報交換できることを楽しみにしております。
2012年1月
臨床MR脳機能研究会
第二代 代表世話人 原田雅史
徳島大学大学院放射線医学分野
e-mail: masafumi@tokushima-u.ac.jp